1.「特定口座・源泉徴収あり」となっていれば確定申告不要
結論から言えば、証券会社の口座が「特定口座・源泉徴収あり」となっていれば確定申告の必要がありません。
確定申告の必要がないけれども申告したほうが良いケースもありますが、
確定申告をするか否かは、確定申告する時までに改めて時間をあけてから考えても問題はありませんので、投資初心者の方など、
迷ったらとりあえず、「特定口座・源泉徴収あり」を選んでおけば大丈夫です。
2.証券の課税関係と口座種類
株式や債券、投資信託などの証券について生じる利益には、譲渡益・償還差益・配当・分配金・利子などがあります。
それぞれの課税関係を見ていくと、それぞれ次の通りの所得区分となります。
(1)株式等を売買したときに生じる譲渡益や償還差益 → 譲渡所得
(2)株式等の配当金・分配金 → 配当所得
(3)公社債等の利息 → 利子所得
まず(1)の株式等の譲渡所得については、原則として確定申告が必要となりますが、
証券会社においてどのような口座で取引しているかにより、判断が異なります。
①特定口座・源泉徴収有り → 確定申告不要。しかしながら、確定申告をしたほうが得になる場合<※1>があります。
<※1>他の証券会社口座との損益通算をする場合、
譲渡損失の繰り越し(3年)を行う場合、
年間所得金額が所得税の課税ライン(38万円)以下の場合、
配当金を総合課税にしたほうが税金が安くなる(課税総所得金額が695万円以下)場合、等
②特定口座・源泉徴収無し →確定申告が必要(証券会社が年間の譲渡損益を計算した、特定口座年間取引報告書を使用)。
譲渡損益が計算されている分、手続きは一般口座に比べたら簡単です。
③一般口座 → 確定申告が必要(自分で譲渡損益を計算する必要があります)。
(2)及び(3)の株式等の利子・配当所得については、原則として確定申告が必要となりますが、
以下の条件にあてはまるものは、確定申告不要制度を選択することができます。
①上場株式等の利子等・配当等→大口株主が支払を受ける配当等以外の場合
②一般株式等の配当等→ 1銘柄について1回に支払を受けるべき配当等の金額が、
[10万円×配当計算期間<※2>の月数(最高12か月)÷12]により計算した金額以下である、少額配当等の場合
<※2>「配当計算期間」とは、その配当等の直前の支払に係る基準日の翌日から、その配当等の支払に係る基準日までの期間をいいます。
3.確定申告手続きについて
[申告期限]
確定申告義務がある人の確定申告期間は、対象年の翌年2月16日から3月15日までです。
確定申告義務はないものの、確定申告で還付を請求する人は、その年の翌年1月1日以降に確定申告書を提出することができます。
還付の請求の場合は、3月15日までという期限ではなく、翌年の1月1日以降5年が経過すると還付請求ができなくなります。
[申告方法]
確定申告をする方法としては次の何れかとなります。
・紙面の必要書類を用意し、手書きして提出する
・国税庁の確定申告書作成コーナーを利用し、e-Taxで申告、または印刷して郵送、または窓口で提出する。
・市販の確定申告ソフトを利用し、申告する。
・顧問税理士等に依頼する。
国税庁の確定申告書作成コーナーも最近は使いやすくなってきた印象です。
[課税方法]
・総合課税
株式等の配当等も、配当所得とその他の所得に合計して総所得金額を求め、確定申告によって源泉徴収されている所得税及び復興特別所得税を計算します。
その際、配当控除を適用することができます。
・申告分離課税
株式等の配当等のうち上場株式等に係るものについては、総合課税でなく、申告分離課税を選択することができます。配当控除の適用はありません。
また、特定公社債等の利子等については、申告分離課税のみとなります。申告分離課税の場合、税率は所得税15%(ほかに住民税5%)となります。
4.まとめ
自分には確定申告が必要か否か、不要の場合は確定申告したほうがお得かどうか確認してみましょう。
とりあえず初心者のうちの証券口座は「特定口座・源泉徴収あり」にしておきましょう。